2018年9月18日火曜日

Heartland

先週はアメリカのMid Westと言われる中西部のネブラスカ州とカンザス州へ。この辺りは別名Heartlandとも言われます。とにかく山がなく、ほとんど平面または丘が永遠と続くようです。昔地理の時間にプレーリーという地形を習いましたが、なだらかな台地が広がります。




ネブラスカ州で演奏するのは初めてで、ネブラスカと聞いてもあまりイメージはなく唯一頭に浮かんだのはブルーススプリングスティーンの80年代始めのレコード「Nebraska」。

ネブラスカでのコンサートが終わり空腹だったのでオーガナイザーに地元っぽい料理は?と聞くと、即座に「肉!」という答えが。そして地元の肉料理の店へ案内してもらいました。アメリカでは普通ステーキにはバーベキューソース、ステーキソースをかけることが多いですが、店の人からとにかくソースなしでそのままで食べてみなさい、肉本来の味をと。そして食べてみると最高でした。この美味さは正直参りました。

写真では伝わってきませんが、これがネブラスカの肉。


その後カンザス州へ少し南下。今回はライブの他にギターコンペティション(International Finger Style Championship) へ参加するという目的もありカンザスへ来ました。コンペティションが行なわれたのはWalnut Valley Festivalというアコースティック音楽をやるフェスティバルの一環で、コンテストにもいろんな所から集まって来てました。何人か知り合いのギタリスト達も東海岸から来てて、「お前も来てたんかあー、頑張ろうな」という感じで始まりました。日本からも2人ギタリストが来られていて交流出来て嬉しかったです。二人共関西人でやはり接しやすいです。

結果は準優勝をもらい、素晴らしいラリビーのギターを頂きました。自分はライブの数は相当やってますがコンテストは生まれて初めてでなんか変な違和感と緊張感がありました。まあ出来るだけ普段通りに弾くことを考えやりました(あまりちゃんと弾けませんでしたが)。終わって思ったことは、2位という結果はもらいましたが自分はほんとにまだまだだという事、そして他のギタリスト達も一見綺麗には弾いてますが、なかなか音がこちらへぐっと伝わってきていないということ。課題が見えていい経験になりました。アコースティックギターを鳴らす事は簡単そうに見えてとても難しいです、そしてギターを使っていても結局はギターという楽器を超えて音を伝えることが大事だと再確認しました。

       

コンテスト終了後の一枚。


中央は1位のTravisそして右が3位のBill


こういうアメリカのフェスティバルの醍醐味はやはり真夜中のジャムセッション。現地で知り合った人達とこの日も午前3時頃まで弾き続けました。今回は主にブルーグラスの曲をやりましたがいろいろ学ぶこともありました。素人のおっちゃんでもすごい良い音を出してる人もいました。

こういうキャンプをしながらテントの横で薄暗い中やるセッションは好きで、アメリカらしいなといつも思います。時折入る休憩ではそれぞれが楽器を見せ合います。みんなよく手に入れたなと思うような古いマーティンを持ってました。その日は朝が早くコンテストもあったのでさすがにもう眠さが限界で、3時頃に自分はギブアップ。でも寝ようとしても目をつぶればまだいろんな所からギター、マンドリン、フィドル、バンジョーの音が聞こえてきました。ほんとにみんな音楽が好きなんだなあとそんなことを思いながら寝たような起きているようなそんな夜が明けました。

キャンプサイトでの深夜のジャム。


翌日は夕方コンテストで上位3位に入った人のコンサートが夕方あるだけだったのでそれまでフェスを楽しみました。一番見たかったギタリスト、シンガーのBilly Stringsのセットに自分の演奏が終わって急いで駆けつけました。がーんと伝わってくる音でした。



フェスティバルを後にして次のライブの場所、カンザス州は西のガーデンシティーへ。本当に何もないだだっ広い景色がずっと続いていきます。時折現われる小さな町には必ず大きい塔のようなWind Mill (精麦所)が。人気のない乾いた町も1分ほどで通り過ぎ、またいつものどこまでも続く情景に戻ります。そしてまた同じような町が現われそれの繰り返しです。少し錆びれた無人の機械が黙々と地下のオイルを吸い出しているのが見えます。自分の来た所、育った所からは程遠い景色だなとそんなことを考えながら走りました。

ガーデンシティーのコンサートは地元のパブリックラジオ局が主催しているライブで2年前にやったとき来てくれた人達も戻ってきてくれました。翌日はサライナという町の教会での演奏でした。もう少し時間があればかつてジャズで栄えたカンザスシティーも見てみたかったですが、いつも移動の連続でなかなかです。今月末は東へ戻りまた周ります。また書きます。


2018年9月2日日曜日

日本のライブを終えて

日本の滞在を終え再びアメリカへ。これから一週間コロラド州での演奏だ。

日本では岡山と京都だけのライブだったが二つの店とも馴染みある場所で、店の人達も含め暖かく迎えてもらった。長年アメリカでライブをやってきて、日本で演奏するのは、今では何か不思議だ。ステージ上で落ち着く部分と違和感が交差する、そんな感じ。でも、今回の滞在で演奏し、人と再会し、人の暮らしを見る中で、この人達にもっとぐっと伝わる、伝えていきたい音楽を創作したいという気持ちも強くなった。自分自身の音楽、スタイルを変えるのは簡単ではないが、これからそういう音楽も作りたいと自然に思う。

台風20号を日本滞在の最後の夜体験し、無事に乾ききったニューメキシコ州アルバカーキに今日到着。ギターは日本の湿度から逃げ出して喜んでいると思うが、自分は日本の余韻を残しつつライブに挑みます。